1 名前:名無しのにゃーすさん:2014/03/29 18:55:09

まさに21世紀を代表する日本の国民的ドラマだ。先日まで放送された『相棒season12』は
平均視聴率17.4%を獲得し、冬ドラマ第2位の『S-最後の警官-』同14.2%や、
散々世間の話題をさらった『明日、ママがいない』同12.8%を大きく引き離す圧勝劇。

さらに4月26日公開の『相棒-劇場版III』を控え、それに先駆けた『序章』の動画配信サービスにトライするなど、
ますます深く新しく進化を遂げようとしている。
ここまで支持を集める良作であり、さまざまな場で称賛されているだけに、
今さらストーリーや各キャラクターの魅力を語るまでもないだろう。
今回はドラマ評論家の目線からそれ以外の魅力を挙げていく。

○脚本家の大量起用と静かなバトル

『相棒』ファンが最も支持しているのは、脚本の面白さで間違いない。
通常の刑事ドラマフォーマットとは一線を画す、"濃密な1話1時間"の姿勢が評価されている。

その秘密は、2時間ドラマ時代から執筆している輿水泰弘をはじめ、毎シリーズ大量の脚本家を起用していること。
『season1』は3人でスタートしたが、『season4』では10人に、最新シリーズ『season12』でも
9人を起用するなど述べ30人を超え、1本のクオリティを上げるべく「一部の脚本家に頼らない」
「渾身のエピソードだけを厳選する」方針を貫いている。

当然、仲間である以上にライバル関係となる脚本家たちは、お互いを意識し合い切磋琢磨するしかない。
それが時勢に合う題材を扱い、タブーギリギリのラインまで攻めることにつながっている。
だからこそ、各話の導入部分も、事件解決への道筋も、警察内外の人間関係も、犯人像も、
さまざまな視点や価値観から描かれているのだ。

○軽い演技はご法度。邪魔が入らない

"相棒"の2人はさておき、それ以外のレギュラー俳優は、失礼ながら総じて地味。
いわゆる人気俳優やアイドル、芸人、あるいはバラエティーに出まくるような俳優はいない。
水谷豊の技量やストイックな姿勢についてこられる人しか使わないのだ。

(>>2以降に続く)

記事全文
http://news.livedoor.com/article/detail/8681389/

2 名前:名無しのにゃーすさん:2014/03/29 18:55:09

(>>1の続き)

その象徴が"トリオ・ザ・捜一"の川原和久、大谷亮介、山中崇史。
さらに、角田六郎役の山西惇、米沢守役の六角精児など、小劇場の役者がズラリ並ぶ。
いずれも連ドラへのレギュラー出演が少なく、売れっ子俳優とは言えなかったが、『相棒』出演でメジャーになった。

小劇場の役者で知名度が低いからこそ、視聴者は各キャラクターのイメージづけがしやすく、感情移入もしやすい。
さらに、距離感の近い観客に鍛えられているため、長回しにも耐えられる技量を持ち合わせている。
『半沢直樹』のヒットで舞台出身俳優が脚光を浴びているが、その『相棒』は先駆けなのだ。

そのスタンスは、2000年のスタートから右肩上がりで視聴率が上がっても不変。
浮ついたところはなく、「人気者に頼る という発想がない。杉下右京の相棒も決して"視聴率を持っている俳優"ではなく、
その世界観を邪魔せず、水谷豊との化学反応を考慮して選ばれている。

○日本一の放送時間と視聴習慣

最も分かりやすい魅力は、放送時間と回数の多さ。
「テレビをつければ毎日見られる」という安心感や親近感は、「接触するほど愛着が生まれる」という人間心理にかなっている。
もちろんそれを実現しているのは、制作サイドの努力。
特筆すべきは、目下11年連続2クールぶち抜き放送していること。つまり「一年の半分は新作が放送されている のだ。

また、その放送は毎年10~3月に固定され、元旦には9年連続でスペシャルドラマを放送、
さらに夕方の『相棒セレクション』(再放送)など、放送月や時間の固定で安定した視聴習慣につなげている。
かつては『水戸黄門』や『サザエさん』が1日2回地上波放送されていたが、現在では『相棒』が唯一。
「日本で最もたくさん見られるドラマ」として視聴者と相思相愛の関係を築いている。

ただ、どんな名作でもこれほどの長期シリーズになると、視聴者の評価が分かれる放送回がある。
過去シリーズとの比較から、少し満足できないと「『相棒』がおかしい」「どうした『相棒』!」という声があがるのだ。
しかし、そんな声こそ視聴者の思い入れと期待の証。
良い意味で「面白くない放送回があったとしても、それでも次回を見る」と受け入れられた境地に達している。

(おわり)